西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ

 

「西の魔女」ことおばあちゃんと不登校の孫の話です。今手元にないので孫の名前が分かりません。とにかく女の子です。

私も諸事情で母方の祖母の家にひと月ほど居候したことがあるのですが、どことなく西の魔女に雰囲気が似ているんですよね。

西の魔女は日本人じゃないとか、相違点を挙げ始めると多分似ているところより多いです。ただ、草花が好きで家にも飾ってあるところとか、何かしら育てているところとか、なにより孫娘のことが好きなところとか。とにかく物語を覗く上で重要なところ。人となりを語る上で欠かせないところが似ているんじゃないかなと思います。いやもしかしたら知らないだけで世の中の祖母はみんなこんな感じなのかもしれないですが。

 

西の魔女の愛を感じるシーンは数多くありますが、中でもジャムを作るシーンが私は好きです。元々細やかに描かれる世界が好きでした。ただ、同じく好きな村上春樹の描く世界との違いは彼の描く世界には説明されたものしかないと私は感じています。例えばジャズのレコード、淹れて少し経ったコーヒー、そして数冊の本がある(彼ならここでタイトルまで教えてくれる)と描写されたなら、レコードとコーヒーと本しかその部屋にはなくて、あっても机、ベッド、あとは窓があるかな。そういった世界観だと認識しています。ただ、それぞれの物の輪郭がしっかりしていて、絶対にぼけることはないのかなと思います。

対して梨木香歩の描く世界には、描かれた物以外もある。机の木目や灯りに群がる数匹の羽虫、果ては窓の外で鈍く存在する月まで在るような、そんな気にさせてくれます。想像力に委ねる分ぼんやりとした水彩画のような印象です。

もちろん優劣などではなくそこにあるのはただ好みの問題だと思います。

何の話?

ジャムを作るシーンも前述の通りすごく細やかで、木の実のつやめく赤と鍋の鈍い色が対比されて、自分も鍋をかき混ぜているような感覚にさえ陥ります。

若いがゆえのある種の潔癖や固執、視野の狭さも感情移入して読むと仕方のないこと、自然な思考として入ってきますし、不安定さすら心地よく感じてくると思います。

 

読み進めれば読み進めるほど道端の草木が目に留まり、近所の林に足を伸ばしてみようかなと思う作品です。私はこの作品の影響でジャムを作ったこともあります。良かったら読んでみてね。早くインターネットをやめて幸せになりましょう。

のもせです

のもせです。

フォロワーが本を紹介しているのを見てやりたくなりました。確か過去にも2度ほど筆をとったのですがアカウントが分からないので作りました。こんな感じでYahooのアカウントが2個、Googleのアカウントが5個、バンナムのアカウントが2個あります。

はやくインターネットをやめて幸せになりましょう。